自閉症児との外出が難しかったこと|自動ドア・階段・エスカレーターへのこだわり

自閉症児との外出で、自動ドア・階段・エスカレーターへのこだわりに困っていた頃を表す紙細工風イラスト

例えば買い物に行くと、入口の自動ドアから進めません。開いた自動ドアを手で閉めたり開けようとしたり⋯と思いきや開いたドアから突然駐車場に向かって走っていこうとしたり、その繰り返しでお店に入ることも難しかったです。

そたまるが1歳5ヶ月頃から、お出かけでいちばん困ったのがこれでした。ドア(特に自動ドア)・階段・エスカレーター。この3つがない場所は、まずなかったからです。

この記事のポイント

  • 1歳半〜3歳ごろは、自動ドア・階段・エスカレーターへのこだわりで、目的のある外出がほとんどできなかった
  • 買い物は、おやつとカートでなんとか乗り切る日々。何よりつらかったのは周りの目だった
  • あの頃の私に伝えたいのは、気持ちに共感してあげること、「あと◯回」と「おしまい」を伝えること、宅配やお預かりにもっと頼ること

※この記事はそたまるの記録です。興味を持つものやそれに対する行動も時期も一人ひとり違います。

目次

思った方向に進めないー買い物・散歩・子育て支援施設の話

この頃のそたまるを連れての「目的」のある行動がとても難しかったように思います。

何も目的がないお出かけなら、そたまるのおもむくままに進めばいいので、それなりになんとかなりました。けれど、日々の買い物に、役所手続き、家族や友人とのお出かけなど、目的がある外出は、ものすごく苦戦しました。

買い物での様子

まず入口では、いつも冒頭のような状態で、店内になかなか入れません。何とか入ることが出来たとしても、今度は2〜3歩歩くごとに座り込み、寝そべります。

階段があれば駆けつけて、とりあえず上ろうとし、エスカレーターがあれば、エンドレスで乗りたがります。そして、これらの行動を止めようとすると、床に頭を「ゴン」と打ち付けたり、そのまま床に寝そべります。
とにかく前に進めませんでした。

お散歩の難しさと心が折れた三輪車の日

買い物以外でも、お散歩もなかなかうまくいきませんでした。

アパートなどの階段などを見つけると上ろうとし、民家の装飾砂利を側溝に入れ続けようとします。そして、そたまるの行きたい方にどんどん進んでしまう。公園へ向かおうとしてもそれが理解できずに行きたい方向と違うことで、地面に頭を打ち付けたり、その場に寝そべったりします。

行きはまだしも帰りはお家に向かうことができないので、外が真っ暗になって、やっと帰れた日もありました。

いちばん覚えているのは、三輪車で出かけた日のことです。まだこげなかったので、後ろに繋がっている手押しの棒で押して進むタイプのもので1キロ近く離れた桜の小道へ向かいました。

桜はキレイでそたまるも嬉しそうに見えて良かったのですが、その近くにいつも行っている公園があり、そこからなかなか帰れなくなってしまいました。

公園では他の子のボールやラケットなどに執着してしまい、それを止めると共に帰ることにしましたが、三輪車で来てしまったために、乗ってくれない&のけぞって落ちそうになる(安全ベルトも効果なし)ので、帰るには抱えて歩くしかありませんでした。

暴れる子を片手で肩に担ぐようにして抱え、反対の手で三輪車を押しながら、家まで帰りました。1キロ超の道のりがとてもとても長く感じ、両腕がとてつもなく痛くて、良かれと思ってやった行動がこんなことになるなんてと悲しくなり、涙をこらえて歩いた道のりは今でも忘れられません。

この日から、歩いて散歩するのは諦めて、車で行くことが多くなりました。

子育て支援の体操教室での話

買い物以外でも自動ドアがある場所は多く、出かけるたびに悩まされました。
当時、子育て支援で開催される月1回の体操教室に通っていたのですが、入口が自動ドアであり、且つ教室のドアからも自動ドアが常に見えていたため、部屋のドアからすきあらば出ていこうとしてしまいます。

それを止めると、床に頭を打ち付けながら怒り、近くに何か物があれば後ろに向かって投げます。カギのかけられる部屋でしたが、他の子の出入りがあるため、ドアがあく度にダッシュで駆けつけてしまいます。ドアの外はすぐ駐車場なので、飛び出したら大変です。

なんとかプログラムに参加出来る時間もありましたが、出ていこうとするのを止めて、床に頭を打ち付けて——。このエンドレスを、教室の時間いっぱい続けたことも何度もありました。

途中、何度もやめようと思いました。それでも1つでも参加出来たらと思い、それがいつか出来るようになればと希望を持ってなんとか通い続けて、その事業が終わるまで2年近く通いました。

終わりの頃には少しだけ参加できる時間が増えたことと、体操教室の歩くだけでも体幹?にいいマットで身体を動かすことが出来たことはムダではなかったと思っています。

健診のあとに通った市の教室でのそたまるの様子は、「1歳半健診からの親子教室」に書いています。

いちばん強かったエスカレーターへの執着

そんな中でもエスカレーターへの執着はとくに強かったです。何度乗っても飽きません。そして、やめさせた時の叫ぶ・転がる・頭を打ち付けるはすさまじく、毎回大騒ぎでした。

大人にとってエスカレーターはただの移動手段ですが、そたまるにとっては遊園地のアトラクションのように楽しいものでもあったのかもしれません。思えば私も子どものころ、エスカレーターに乗るのは楽しかったです。

気がすむまでやらせてあげられればいいのですが、エスカレーターは遊具ではありませんし、一歩間違えれば事故が起こりうるものでもあります。周りの目も気になります。

飽きるかどうか試してみた話

ある時、「気がすむまでやらせてみたらどうなるんだろう?」「飽きたりするのでは?」と思って、試したことがあります。

選んだのは、人通りが多くて、何度も乗り降りしていても気づかれにくいと思われる場所——大きな施設のエスカレーターでした。混み具合からも邪魔にならない程度で、ここなら、と思いました。

そたまるは嬉しそうに何度も何度も乗り続けました。が、飽きることはなく、私のほうが限界を感じて断念しました。「満足するまでは付き合うことは出来ない」とハッキリと分かりました。

道へのこだわりー成長と共に変化する行動

外出はほとんど車にしていましたが、車の中でも様々な行動が起こりました。
暴れるなか車にのせる時はのけぞって暴れるのをなんとかチャイルドシートにのせるのは大変でしたし、車のDVDやお菓子など、その時どれが有効か手探りで試しながらの日々でした。

そして、道へのこだわりが強かったからか、そたまるは車で外出していても道を覚えているようでした。理由は分かりませんが、高速道路が好きでした。

そのため、思ったような道を進まなかった時や、高速道路にのらずに通り過ぎた際、後ろの席から自分の履いている靴を投げてくるようになりました。それが言葉の出ないそたまるの意思表示の手段でした。

そして更にはチャイルドシートのベルトを外し、車内にドタッ!と倒れ込むようにもなりました。チャイルドシートを外すことが出来るようになってしまった時には本当にどうしようかと思いましたが、外す部分を大きめのハンカチでぐるぐる巻にしたり、あの手この手で対策をとっていました。

何よりも辛かったのは周りの目でした

何をするにも必死な日々。それでもうまくいかない日々。
そんな私が一番辛かったのは周りの目でした。

自動ドアを手動で開閉しようとするのを止め続け、床に何度も寝そべるのを起こし続け。。。それだけでも人目を集めます。気になりつつも、時々そんな姿を少しだけぼーっと見てしまうこともありました。途端に目線が「親は何してるの?」に変わるのを感じます。

昔の自分もそうでした。私も以前は、店内で泣き叫ぶ子を見て「大変だなぁ」と思いつつも、そのまま放置しているお母さんを見て、「なんで?」なんて思ったりしていました。今ではそのお母さんの気持ちがよく分かります。

周りがどう思っているかなんて分からないのだから、自分の思い込みもあるかもしれません。けれど、視線はとても刺さります。周りに迷惑をかけている自覚があるからなおさらでした。

買い物の負担を減らすためにーおやつと宅配サービス

外に出かけるのが憂鬱でたまりませんでしたが、日々のお買い物は必要です。そこで次の2つをやっていました。

当時やってみた2つのこと
  • 生協の宅配を使い始める——お店に行く回数そのものを減らす(各社の比較)
  • おやつを持たせてカートに乗せる——おやつを食べ終わるまでに買い物を終わらせる

宅配サービスは非常に助かりましたが、すべてが宅配で揃うわけではありませんし、金額が少し高いのが気になっていました。なので、買い物自体をなくすことは難しかったです。

けれど、お店で買うものは減らすことが出来たので、買い物の際はおやつを持たせてカートに乗せ、食べ終わる前に買い物を済ませることを目指しました。

カートに乗っておやつを食べていればなんとか自動ドアも突破出来ました。おやつもボロボロとこぼれにくく、落としてもすぐ拾える当時好きなおやつの上位だった「かっぱえびせん」のベビータイプと卵ボーロをあげていました。

ただし、食べ終わると途端にのけぞりだし、カートから落ちそうになるので、レジ待ちで長引いた際、お会計をしている最中におやつがきれてしまい、申し訳ないと思いつつも慌てて店員さんの前で別のお菓子を開けて渡すことも何度もありました。

お店からしたら迷惑だったかもしれませんし、「工夫」と呼べるものでもありませんが、その時の私にはその手段しかありませんでしたし、それでなんとか最低限の買い物は出来ていました。

今思うあの頃の私に伝えたい4つのこと

これらの行動は幼稚園に入る頃(3歳後半)には少しずつ落ち着いてきたように思いますが、今思うあの頃の私に伝えたいことが4つあります。

1️⃣まずは「◯◯したかったね」などと常に共感だけはしてあげて欲しいということ
2️⃣「あと◯回」の見通しと「おしまい」を理解出来るようにすること
3️⃣宅配サービスなどをもっと活用すること
4️⃣必要に応じて託児サービスを利用すること

まずは「◯◯したかったね」などと常に共感だけはしてあげて欲しいということ

言葉が出なかったそたまるにとって、「やりたい」「乗りたい」を伝える方法は、走っていくことや、頭を打ち付けること、寝そべることなどしかありませんでした。言葉がまだ十分でない子は、思いが聞き入れられないと感じるとかんしゃくを起こすことがある、とされています(発達障害情報・支援センター)。

だからこそ、止めるときにもまず「乗りたかったね」と気持ちを言葉にしてあげたかったと思います。共感は、要求をそのまま通すこととは違います。乗れないことは変わらなくても、乗りたかった気持ちは受け止められます。

気持ちを受け止めて、落ち着くまで待つという関わり方は、国立特別支援教育総合研究所でも紹介されています。受け止めてもらえることで子どもは安心しやすく、大人との信頼関係にもつながると言われています。

「あと◯回」の見通しと「おしまい」を理解出来るようにすること

言葉の分からない子に難しいことではあると思います。けれど、言葉が分からないからこそ、やりたいことを突然中断されることに癇癪を起こしてしまう気持ちも今なら分かります。

私が「あと◯回」と「おしまい」を伝え始めたのは、療育に通いだしてしばらくして、遊びの中に「おしまい」を伝える要素が入ってきた頃です。もちろん最初は全く伝わりません。けれど、「おしまい」と言いながら、手話のおしまいのポーズを見せてその遊びを終わらせることをとにかく続けました。

次第に「おしまい」と言うと怒り出すようになりました。おしまいが分かってきたということです。
次は「あと◯回!」のカウントダウンです。

これは時間がかかります。カウントする手段は最初は分かりやすいものがいいと思います。
・ビー玉や、100円ショップなどにある手芸・ハンドメイドコーナーのカラーポンポンなどを1回やるごとに箱などに入れてなくなったら終わり
・表のようなものにスタンプを押したり、シールを貼るなどする
それと同時に対応する数字も指や文字で入れておき言葉でも伝えることで数字も少しずつ教えていきました。

とても時間がかかりました。けれど、少しずつ、少しずつ変化していったのを覚えています。もちろんやめたくないので怒ったり癇癪は起こると思います。けれど、その癇癪の大きさは確実に変わっていきました。

移動と「待つ」を助ける方法ー調べて分かったこと

「あと◯回」のほかにも、見通しを伝える方法はいろいろあります。
公的な資料でも、言葉だけでなく写真や絵カード、スケジュールで予定や変更をあらかじめ伝えると見通しを持ちやすい、と紹介されています(発達障害情報・支援センターなど)。

方法やること
終わりを予告する「あと◯回」「あと◯分」と、終わりを先に伝える。指で数を見せると分かりやすい
「できない」を絵で伝えるエスカレーターの絵に×をつけたカードや、「おしまい」のカードを作って見せる
順番を見せる「先に買い物、次にエスカレーター1回」のように、カードや写真で順番を並べる
行き先を先に見せるお店の入口や売り場の写真で、これからどこへ行くかを出かける前に伝える
時間を見える形にする残り時間が色で減っていくタイマーなどで「待つ時間」を見せる
約束を守る伝えた回数や順番は、大人の都合で変えない

子どもによって、うまくいくこともうまくいかないこともあります。うまくいく時期も違います。
わが家では療育でも家でも同じ伝え方に揃えることでその機会を増やしました。

周りに事情を伝えたいときは、外から分かりにくい障害などを示すヘルプマークもあります(障害者手帳がなくても受け取れます。配布場所はお住まいの自治体で確認してください)。

宅配サービスなどをもっと活用すること

私は当時生協を利用していて、その他にもヨシケイのお試しや、Oisixも利用したことがあります。
昔にくらべて今は食材宅配やネットスーパーなどサービスも豊富で、ミールキットなど内容も充実しています。

お金がかかることはネックだとは思いますが、ママにゆとりが出ることの子どもへの影響は大きいと思います。この大変な時期を一時的に乗り越える手段として、まずはお試しを申し込んでみるのもアリだと思います。

わが家が試したものも含めて、代表的なサービスを「食材宅配・ネットスーパー比較」にまとめています。

必要に応じて託児サービスを利用すること

役所手続きや時間のかかるものに関してはお預かりを使うのも手だったと思います。どうしても済ませたい用事の日まで、一緒に乗り切ろうとしなくてもよかったのかもしれません。

気が引けるかもしれませんが、自身の買い物やリフレッシュに時には使ってみてもいいと思います。

サービスどんなもの
一時預かり保育所などで、ふだん通っていない子を一時的に預かる(子育て支援の制度)
こども誰でも通園制度保育所などに通っていない0歳6か月〜3歳未満が対象。月10時間まで(自治体により上限が異なる場合あり)
ファミリー・サポート・センター地域の会員さんに、預かりや送り迎えを頼める
日中一時支援障害のある子の日中の預かり(市区町村の事業。手帳や受給者証が要るかは自治体による)
短期入所(ショートステイ)障害のある子が施設に泊まりで過ごす
モールの遊び場
(スキッズガーデンなど)
イオンモールなどにある遊び場。3歳〜小学2年生は子どもだけで入場でき、そのあいだに買い物ができる。保育士などの資格を持つスタッフが見守る。料金は30分1,000円前後から(店舗・平日休日で違う)
ベビーシッター(民間)家に来てもらう。発達に特性のある子に対応する事業者もある

※対象・費用・申込先は、お住まいの市区町村で変わります。児童発達支援(就学後は放課後等デイサービス)は、預かりではなく発達を支援する場です。
※スキッズガーデンは、子どもだけで利用するときに保護者の携帯番号の登録が必要です。店舗や日によっては、子どもだけの入場を休止していることもあるので、利用する店舗の案内を確認してください(スキッズガーデン公式)。

振り返って思うこと

とにかく手をつないで歩くことが難しかったそたまる。ショッピングモールでは、親子連れが手をつないで歩いている姿を目にするたびに羨ましくて仕方ありませんでした。

「なんで◯◯してくれないの」と思い続けた日々。一方で最後は強制中断でしか終わらせることが出来ず、毎回嫌な思いをさせて、申し訳ない気持ちも抱えていました。

当時働いていないのに、家事を楽しようとするサービスを利用することも、働いていないのにお預かりを利用することも抵抗がありました。けれど、思い切って使ってみて良かったですし、もっと早く利用すれば良かったと心から思いました。

このブログでは繰り返し言いますが、ママが笑顔でいられることが子どもにとって、家族にとってとても大事なことです。優先していいことだと思っています。どうか一人で頑張らずに周りのサービスを大いに頼って下さい。

そたまるの3歳下の妹である娘がすんなりカートに乗り買い物が出来た時に感動を覚えたことを今でも思い出します。その時に娘に対して思ったことは「私の買い物に付き合ってくれてありがとう」という気持ちです。そたまるで大変な思いをしていなければ、こういう考えが出てこなかったかもしれません。

子どもに対しての「ありがとう」の気持ちも忘れずに持ち続けたいと思いました。

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